水彩、版画、それともクレヨン:イラスト系プロンプトで「素材感」をどう書くか

イラスト系プロンプトを書くとき、一番手軽で一番役に立たないのは、スタイル名だけを放り込むやり方です。水彩風、版画風、クレヨン風。モデルはこれらの単語を認識しますが、返ってくるのはたいてい写真にフィルターをかけただけの画像——色は合っていても、素材感がありません。
サイト内で「これは描かれたものだ」と一目でわかる実例に共通しているのは、素材の名前ではなく、素材が残す物理的な痕跡を書いていることです。
紙は最初の情報レイヤー
浅茶色の紙の上の海棠の枝の場合、シーン変数はたった一つ、浅茶色の紙の背景だけです。この一文だけで画面全体のトーンが決まります——ピンクと白の花びらが黄みがかった紙の上に乗り、画面上に浮いているような水彩にはなりません。
表参道の旅行スケッチはもっと直接的で、「清潔なスケッチブックの紙、下にうっすらと紙目の粒感を一層」と書いています。あの粒感こそが、この一枚が印刷物ではなく手描きに見える唯一の証拠です。
転用できる教訓:「手描き」を謳うプロンプトは、まず紙について説明すること。白紙、クラフト紙、スケッチブック、宣紙——それぞれ色の乗り方が変わります。
筆致は動詞で書く、形容詞ではなく
二羽のオウムの油絵は「油絵風」とは書かず、厚塗りの筆致、絵の具が盛り上がって見える筆跡、羽が一筆ずつ「積み上げられて」いく様子を書いています。ここでは動詞のほうが形容詞よりずっと効きます。
白背景のクレヨンイラストは逆に素材の欠点を利用しています——クレヨンの粗さが、過度な精緻さをちょうど押さえ込んでくれるのです。白背景は余白ではなく、色に道を譲るためのものです。
並べて見れば明快です。油絵は「筆致の積み重ね」を、クレヨンは「粒感とざらつき」を、水彩は「にじみの境界」を書く必要があります。「〇〇風」とだけ書くと、モデルはどれを望んでいるか推測するしかありません。
余白は空白ではなく、素材そのものの一部

雲海の孤崖の水墨はおよそ7割が空白です。これは描き切れていないのではなく——水墨という素材そのものの力が、もともとわずかな墨の痕跡に集中しているからで、余白はそれらに息をさせる役目を担っています。
版画も同じ論理です。龍虎が絡み合う一枚は、あえてジャングルの背景を疎に書き、青い植物を「最小限に留める」としています。龍と虎の緊張感はすべてこの空白が支えており、背景が密になると明暗がぶつかり合い、画面がまとまらなくなります。
同じ余白でも、写真では失敗、版画や水墨では技法になります。だからこそこの種のプロンプトには余白の比率や密度を明示的に書く必要があり、そうしないとモデルは「情報は多いほど良い」というデフォルトの習性で埋め尽くしてしまいます。
密度はもう一つの極端
西施浣紗の工筆は逆方向に振り切っています。金の線は装飾の縁取りではなく、雲錦のひだの一つひとつを骨格として描き込むためのもの。水中の鯉や散らばった茘枝の殻といった添え物も、主役ではないのに画面全体を支えています。
工筆の素材感は密度と線の確かさから生まれます——一本一本の線が丁寧に収められていて、適当に流した線は一つもありません。プロンプトに「精緻」とだけ書くと、たいていディテールが団子状に固まった結果になります。「金の線で衣の襞を一本ずつ縁取る」と書けば、モデルはディテールをどこに宿すべきか理解します。
「不完全さ」はわざわざ書く
全体を手描きの落書き風に描き直した一枚の要点は、「わざと不完全に」という一言にあります。輪郭線を少し歪ませ、塗りを少しはみ出させる。手作りり感の源はこの二つの「ミス」で、きっちり描きすぎるとかえって嘘っぽくなります。
この考え方は多くの素材に通じます。クレヨンははみ出し、木版画はバリ、水彩はにじんで制御を外れた部分が必要です。モデルは放っておくと「きれい」な方向へ収束するので、明示しなければそのニュアンスは消えてしまいます。
最後に順番
表参道のプロンプトには描く順番も書かれています——まずペンで街並みの骨格を描き、続いて水彩でにじませていく。順番を逆にして先に色を塗ってから線を引くと、画面全体がくすんで見えます。
ミクストメディアのプロンプトでは、何が先で何が後かは、光の位置や比率と同じくらい実質的な変数です。水彩猫が敷き詰められた一枚はまた別の制御方法で、括弧の中に柄や体型の候補リストを並べ、モデルに一匹ずつランダムに選ばせることで、千匹の猫がコピー&ペーストのようにならないようにしています。
書く前のチェックリスト
- 紙について書いたか(白紙/クラフト紙/スケッチブック/宣紙)
- 筆致を動詞で書いたか(積む、はく、にじむ、彫る)
- 余白や密度を明示的に書いたか
- 「不完全さ」をわざわざ書いたか
- ミクストメディアの場合、描く順番を書いたか
Midjourneyと新世代モデルでは、この種のプロンプトの書き方にかなり違いがあります。Midjourneyのプロンプトがなぜ短くて済むのかと合わせて読むと参考になります。これらの要素を型として整理したい場合は、構造化プロンプトの書き方にテンプレートがまとまっています。
