Midjourneyのパラメータは魔法ではない:サイト内5枚の実例から--ar・--stylize・--style rawを逆算する

Midjourneyのプロンプトを書くとき、多くの人は本文を適当に二、三行書いて、最後に見たことのあるパラメータを片っ端から貼り付け、出来が違えば数字を変えてもう一度、というやり方をする。パラメータが結果に影響を与えるのは間違いないが、それが決めているのは「どう描くか」であって「何を描くか」ではない。この違いをはっきりさせて初めて、パラメータ調整は運任せから狙って動かせるものに変わる。
以下の5枚はすべてサイトにすでに公開済みの実例で、パラメータ文字列は元画像と一緒に収録されている。成果物と照らし合わせながら、各パラメータがどの部分を担当しているか直接確認できる。
--arが決めるのは画角ではなく、語りの構造そのもの
陰影で切り取った人物写真のパラメータは`--ar 1:2 --style raw --stylize 250`。1:2という比率はよくある2:3や9:16よりさらに細長く、人物が狭い帯の中に押し込まれ、左右に環境を置く余地がない。残るのは明暗関係だけになる。このケースのnoteにもはっきり書かれている――形は完全に明暗で切り取られていて、光の角度の方がカメラの機種より重要だと。つまり「明暗だけで語る」という発想が先にあって、そこから他の情報を削ぎ落とす細長い画角が導かれている。
一方、タートルネックの全身像は同じ60度のメインライトと75度のリムライトの組み合わせを使っているが、全身構図になると光への依存度はむしろ上がる。半身像なら顔の造形だけでも成立するが、全身になるとこの2灯が効いていないと画面が平板になってしまう。まず画角がどれだけの情報を残すかを決め、そのあとで光が足りているかを見る――この順番を逆にすると、パラメータをいくらいじっても狙った感覚にはたどり着けない。
--stylizeと--style rawは同じ綱の両端を引き合っている
`--stylize`はMidjourney自身の美意識がどこまで介入するかを調整するもので、数値が高いほどモデルが勝手に「美しく仕上げよう」とする。`--style raw`はその逆で、モデルに主導権を渡さないようにする。この二つがセットで登場することが多いのは、実は同じスライダーの両端を制御しているからだ。
黄金時刻のガラスエントランスは`--stylize 500 --quality 2 --v 6.1`で、rawは付けていない。この一枚が求めているのは磨き上げられたドラマ性――濡れた地面の反射、大理石にかかる暖色の光、消失点に向かって収束する左右対称の構図――で、雰囲気づくりをモデルに任せるのが正解になる。実はこの絵の本当の変数はパラメータではなく「地面が濡れている」という一言にある。乾いた地面は平板に見え、水面の反射を一層加えるだけで画面全体が生き返る。
対して先ほどの陰影人物写真は`--stylize 250`に`--style raw`を組み合わせていて、こちらは逆のアプローチを取っている。数値を下げ、rawでさらに美化を一段削ぎ、残りは全てプロンプトの文章自体が輪郭と形を説明することに委ねる。どちらに寄せるべきか迷ったら、一つ問いを立てるといい――この絵の中で一番価値のある部分は、自分が書き切ったものか、それともモデルに考えてほしいものか。
--nijiはフィルターではなくモデルの切り替え
ゴシックパンクの刀使いのパラメータ文字列は`--ar 9:16 --style raw --niji 6`。nijiはデフォルトモデルにアニメ風のフィルターを重ねたものではなく、独立したアニメ寄りのブランチだ。だから同じ本文をデフォルトモデルに通すと、まったく別の描き方のロジックになる。この一枚を本当に支えているのもパラメータではなく、黄と黒がほぼ半々に分かれた配色比率だ。この比率が崩れれば、どれだけディテールを積み上げても画面が散らかるだけになる。
ついでにパラメータ文字列に潜む「偽物の友達」にも触れておく。Jil Sanderのホワイトキューブ人物写真には`--relax --v 5.2 --ar 3:4`と書かれているが、この`--relax`はタスクのキューイング方式を制御するもので、画面の見た目とは無関係だ。パラメータ文字列をそのままコピーする分には、こうした実行モード系のフラグが混ざっていても害はないが、画面には何のメリットももたらさない。この一枚が本当に効いているのは、ブルーグレーの二階調を最後まで貫いていること――人物、キューブ、木製の台、石畳のすべてが同じ配色に従っている。
パラメータでは埋められない部分
夜のガラスパビリオンは`--personalize`と`--stylize 300`を使っているが、この絵を成立させているのはガラス表面に浮かぶ結露と、長時間露光が通行人をシルエットに変えている部分だ。パーソナライズ系のパラメータは出力を自分の好みに寄せてくれるが、それには画面の中にすでに寄せがいのある何かが存在していることが前提になる。
かなり時間を節約できる確認の順番がある。まず本文だけで一版出して、主体・光の位置・素材の3点が合っているかを確かめる。そのあとで画角を動かす。スタイライズ強度を調整するのは最後だ。この3つを同じ回で一気に変えると、何が効いたのか、何が悪かったのか判断できなくなる。本文の中でどの言葉が重みを持つかについては、サイト内のプロンプトの重み付け解説がさらに詳しい。長いプロンプトを使い回せる骨格として書きたい場合は、構造化プロンプトガイドを参照してほしい。完全なパラメータ文字列付きの実例をもっと見て比較したいなら、Midjourneyモデルページで元のプロンプトをすべて確認できる。
